住宅ローンの7つの疑問 【注文住宅・家づくりの】
元利均等返済と元金均等返済、返済が楽なのはどちら?
将来的に楽になるのは元金均等返済です。元利均等返済は、毎月の返済額を一定にする返済方法。元金均等返済は、毎月同じ元金分を返済していく方法です。
元利均等返済は、返済額はずっと一定ですが、当初はなかなか元金が減らず、総返済額は元金均等返済よりも多くなるのです。一方元金均等返済は、元金をどんどん返していくのでそれにかかる利息の減り方も早く、返済が進むにつれて返済額も減っていきます。これからの返済のことを考えると、元金均等返済がおすすめ。将来収入が減ったり、教育費などの負担がふえたりした場合も、そのころには月々の返済額が減っています。
元利均等返済は毎月の返済額が同じ
毎月返済する住宅ローンの返済額には、最初に借りた元金分に利息分か含まれています。これをどういう配分で返すかによって、「元利均等返済」と「元金均等返済」という2つの返済方法か設けられています。元利均等返済は、毎月返済額の元金分と利息分の割合を調整して、毎月の返済額を一定にする方法です。多くの金融機関で一般的に採用されています。
元金均等返済は返済額がしだいに減っていく
元金均等返済は、毎月返済額のうち元金分を一定にして、そのときの借入金残高にかかる利息分を上乗せして返済する方法です。元利均等返済に比べると当初の返済額は多くなりますが、元金が早く減るためそれに伴う利息も少なくなり、返済が進むにつれて、毎月返済額は軽くなります。総返済額も元利均等返済より少なくてすみます。
元利均等返済のほうが、毎月返済額が一定であるため返済計画が立てやすい、元金均等返済に比べて当初の返済額が少ないため、収入基準をクリアしやすいなどの理由から多く利用されています。しかし、借入金を早く減らすには、元金均等返済のほうが有利です。同じ条件で比べると、当初の返済額の少ない元利均等返済では、それだけ必要な収入も少なくてすみます。つまり、収入が少ない人は、元利均等返済のほうが多く借りられます。もし、借入先の金融機関が元金均 等返済を採用していれば、比較検討 してください。公庫融資や財形住宅融資のほか、一部の銀行などでも扱っています。
元利均等返済のほうが多く借りやすい
住宅ローンには「収入基準」があり、フラット35なら、毎月返済額の4倍以上の収入が必要です。元利均等返済と元金均等返済の収入基準を確認しましょう。
「未払い利息」に要注意
元利均等返済を採用している変動金利型のローンでは、毎回の返済額は5年間変わりませんが、4月と10月の年2回の金利見直し時に、元金と利息の内訳が調整されます。
ところが、急激な金利上昇があった場合、新しい利息の額が毎月返済額を超えてしまうことがあります。すると、万57112円になってしまいます。つまりご元利均等返済なら、毎月返済額の4倍以上という収入基準の範囲内におさまるため、3000万円を借り入れられるのです。その月の返済はすべて利息に充てられたうえ、超えた分は「未払い利息」として次回の返済に繰り回されることになります。当然、その間元金部分は減少しません。未払い利息を防ぐ対策としては、
- 借入金額をなるべく少なくする。
- 返済期間を短くして早く返す。
- 返済中は一部繰り上げ返済をして元金を減らす。
といった方法で、ローン負担を軽くする努力をする必要があります。
住宅ローンは返済は何才までにすればいいか?
基本的には60才までに返済を終えるのが原則です。フラット35では、申し込み時に70才未満であればローンを組めますが、できるだけ、給与収入のある60才までに返済が終わるようにしたいものです。これまでは「長期のローンを組み、退職金で残高を支払う」こともできましたが、この先、退職金をあてにするのは危険。公的年金はますます期待できなくなっていくでしょうから、退職金は老後資金にあてざるをえなくなるはずです。
物件が決まってから資金を考えるのではなく、60才までに返せる範囲で資金計画を立て、それに見合った物件を考えるようにしましょう。
長く借りるのと、短く借りるの どちらが良いの?
フラット35の場合は、ギリギリまで短く設定してどんどん返すほうが良いでしょう。返済期間は短ければ短いほど、利息が少なくてすみます。特にローン返済開始直後は、返済額に占める利息の割合が多く、元金部分がなかなか減っていきません。ですから、返せる範囲の金額で、できるだけ短く設定して、積極的に返済することをおすすめします。
特に今のように、将来収入が減ることも考えられる時代には、返せるうちにできるだけ多く返済しておいたほうが安心。収入が変わったり、教育費がふえたりして、月々の返済にあてられる金額が減った場合は、公的融資ならそのときに条件変更をすれば、返済額を減らして返済期間を延ばせます。公庫の場合、返済期間の変更は何度でもできますが、手数料がそのつど5250円が必要です。また、銀行ローンでは原則として、一度決めた返済期間を短くすることはできますが、延ばすことはできません。
ボーナス返済はどのように設定するのがベスト?
ボーナス払いはゼロにして、出た場合には繰上返済が理想です。これから先、ボーナスがどのくらい出るのか読めないのなら、ボーナス払いは設定しないでおきましょう。元来ボーナス返済は、半年に1回だけなので、利息の負担が重く、月々の返済よりも割高なので、できるだけ利用しないほうがいいのです。
もしボーナスが出て余裕ができたら、繰上返済に利用してもいいですし、貯蓄に回してもいいでしょう。くれぐれも「ボーナスが出ないから住宅ローンが払えない」という事態にならないようにしておきましょう。
固定金利と変動金利、どちらがいい?【住宅ローンの基本】
少し前はは10年間の固定金利がおすすめでしたが、今は断然変動金利です。低金利の今は、固定金利を選ぶのが基本です。銀行ローンには、全期間固定金利、全期間変動金利、金利上限特約付変動金利、固定金利選択型がありますが、おすすめなのは最後の固定金利選択型。一定期間金利を固定させたあと、終了した時点で変動金利か固定金利かを選べます。
固定期間は1年から30年程度まであり、期間が短いほど金利は低いのですが、あまり短いと返済計画が立てにくいもの。10年固定あたりが適当でしょう。今後金利が上がっても、10年後にはまた下がっている可能性もあり、その場合は引きっづき固定金利を選択すればいいですし、もしも高金利になっていたら変動金利にして下がるのを待ってください。
借りていた銀行が破綻したらどうなるでしょうか?
多少金利が変わる可能性はあるが、大きな影響はないでしょう。銀行が破綻した場合は、どこかの金融機関が引き継ぐはずです。住宅ローンの金利は新たな銀行の基準に変わるかもしれませんが、即刻全額返済しなければならない、という事態にはならないでしよまた金融機関が破綻すると、預金は1000万円までしか保護されませんが、同じ銀行で融資を受けていた場合、希望すれば預けていた額だけローンから相殺してもらえます。1000万円以上預金していても、全額ローンの返済分にあててもらえるということです。
これからの住宅ローンはどうなるのでしょうか?
これからは公庫と民間のどちらのローンを選ぶべきなのでしょうか。公庫と民間を並べて比較し、自分に有利なところを見つければよいでしょう。これまでは、利用できるならば公庫を優先させるのが原則でした。低金利で長期の融資が受けられ、民間とくらべてはるかに有利だったからです。ところが、公庫廃止に向けて、民間でも低金利・長期のローンが登場。これからますますふえていきそうです。今までの「まず公庫↓足りない分は民間」という考え方は捨て、「公庫畷民間」と並べて比較したほうがいいですね。インターネットを使えば、各金融機関の最新情報が簡単に手に入りますから、サービス内容などいろいろくらべて、自分にとって最も有利なところを見つけてください。
変動金の気になること
金利水準が下がり、割引幅も拡大している昨今は、金利的には「マイホームの買い時」だといえます。ただし、注意しなくてはならないのが「借り過ぎ」です。
金利が低いと、同じ借入額でも毎月返済額は小さくなります。たとえば現在の金利水準で4000万円を35年返済で借りる場合、金利1.5%の長期固定金利型の毎月返済額は14万円を超えますが、0.555%の変動金利だけ11万円台で済みます。つまり、特に変動金利型は当初の金利が低く毎月の返済額も抑えられるため、つい借り過ぎになる危険性が大きくなるのです。あとあと金利が上昇したときに利息負担で家計が破綻しないよう、超低金利のときこそ、資金計画は慎重に行なうことが大切です。
なお、変動金利型については、金利上昇リスクという点からも利用はあまりおすすめできません。「日銀は当面、金利を上げないはず=金利が上昇する直前まで変動金利を利用し、上がる寸前に固定金利に切り替えればよい」などと考える人もいますが、このプランは実現性が低いといえます。というのも、金利には「長期金利は短期金利に先行して動く」というメカニズムがあるからです。金利が上昇する場合、長期金利のほうが短期金利より先に上がる傾向があるため、住宅ローンの変動金利が上がったときには固定金利がすでに上がっている可能性が高いと考えられます。さらに、住宅ローンの固定金利は、下がるときはゆっくりでも、上がるときはピッチが速いことも知っておきましょう。「そうはいっても、変動金利の金利水準は魅力」という人は、変動金利で借りる額を少なくし、固定金利タイプと組み合わせて利用するのも一つの方法です。